備品を売却したときの仕訳(間接法・売却損益)

備品を売却したときの仕訳を、減価償却累計額の相殺と固定資産売却損益の計算手順まで解説。期中売却(当期の減価償却費を月割計上)、直接法、下取り、代金後日のケース、よくある間違いも掲載。日商簿記3級対応・無料。

結論の仕訳
借方 金額 貸方 金額
減価償却累計額 60,000 備品 100,000
現金 30,000
固定資産売却損 10,000
ポイント

取得原価100,000・減価償却累計額60,000(簿価40,000)の備品を30,000で売却。簿価より安いので差額10,000が固定資産売却損。

なぜこの仕訳になるか

  • 減価償却累計額(評価勘定):間接法で積み上げてきた累計額を、売却時に取り崩す → 借方。
  • 備品(資産):売却して手放す → 取得原価100,000を貸方で減らす。
  • 固定資産売却損(費用):簿価40,000より安い30,000で売れた差額 → 売却損として借方。
  • 損益の求め方(3ステップ):① 帳簿価額を出す(取得原価 − 減価償却累計額)→ ② 売却額と比べる → ③ 売却額のほうが低ければ売却損、高ければ売却益。期中売却なら①の前に当期分の減価償却費を月割で計上する。

バリエーション

(a) 簿価より高く売れた場合(売却益)

借方 金額 貸方 金額
減価償却累計額 60,000 備品 100,000
現金 50,000 固定資産売却益 10,000

簿価40,000を上回る50,000で売れれば差額10,000が売却益。

(b) 代金を後日受け取る場合

借方 金額 貸方 金額
減価償却累計額 60,000 備品 100,000
未収入金 30,000
固定資産売却損 10,000

商品以外の代金後日は「未収入金」。

(c) 期中に売却した場合(当期分の減価償却費を月割計上)

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 10,000 備品 100,000
減価償却累計額 60,000
現金 25,000
固定資産売却損 5,000

取得原価100,000・耐用年数5年(定額法・年20,000)、期首の累計額60,000。期首から6か月後に25,000で売却した例。まず当期6か月分 20,000×6/12=10,000 を減価償却費として計上し、売却時点の簿価 100,000−(60,000+10,000)=30,000 と売却額25,000の差額5,000が売却損になる。ここを飛ばすのが最も多いミス。

(d) 直接法で記帳している場合

借方 金額 貸方 金額
現金 30,000 備品 40,000
固定資産売却損 10,000

直接法では備品の帳簿残高がすでに簿価40,000まで減っている。減価償却累計額は登場せず、備品を簿価のまま貸方で消すだけになる。

(e) 下取りに出して新しい備品を買った場合

借方 金額 貸方 金額
減価償却累計額 60,000 備品 100,000
備品 150,000 現金 120,000
固定資産売却損 10,000

1行目の貸方が旧備品(取得原価100,000)、2行目の借方が新備品(150,000)。下取価額30,000は旧備品の売却額として扱う。簿価40,000との差額10,000が売却損。新備品150,000のうち下取分を差し引いた120,000を現金で支払う。下取価額を新備品の取得原価から値引きしてはいけない。

よくある間違い

  • 取得原価をそのまま損益に使う → 売却損益は「売却額 − 帳簿価額(簿価)」で計算する。
  • 減価償却累計額を取り崩し忘れる → 間接法では累計額を相殺して備品を消す。
  • 代金後日を「売掛金」にする → 商品以外の未収は「未収入金」。
  • 期中売却で当期分の減価償却費を計上し忘れる → 売却日までの月割償却を先に計上しないと簿価がずれ、売却損益も間違う。最頻出のミス。
  • 直接法なのに減価償却累計額を使う → 直接法では備品残高がすでに簿価。累計額勘定は存在しない。
  • 下取価額を新備品の取得原価から値引きする → 下取りは「旧資産の売却」と「新資産の取得」の2つの取引。分けて処理する。
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よくある質問

売却損益はどう計算する?
「売却額 − 帳簿価額(取得原価 − 減価償却累計額)」で求めます。プラスなら売却益、マイナスなら売却損です。
間接法のとき累計額はどうする?
売却時に減価償却累計額を借方で取り崩し、備品を取得原価のまま貸方で減らします。
代金が後日のときは?
商品以外の代金後日なので「未収入金」で処理します。
期中(決算の途中)で売却したら?
期首から売却日までの減価償却費を月割で計上してから売却の仕訳をします。例えば年20,000の償却で6か月後に売るなら 20,000×6/12=10,000 を減価償却費として計上し、その分だけ増えた累計額で簿価を計算します。1か月未満の端数は「1か月として数える」など問題文の指示に従ってください。
直接法で記帳している場合は?
備品の帳簿残高がすでに簿価になっているので、減価償却累計額は使いません。備品を簿価のまま貸方で減らし、売却額との差額を売却損益にします。
「備品を売った」ときの勘定科目は?
減らす側が備品(と減価償却累計額)、受け取る側が現金・普通預金・未収入金です。差額は固定資産売却損または固定資産売却益で処理します。
未収入金と売掛金はどう使い分ける?
売掛金は商品・製品を売ったときの債権です。備品のように商品以外を売った代金は未収入金を使います。
消費税はどう扱う?(実務)
固定資産の売却も課税取引です。税抜経理なら売却額に含まれる消費税を仮受消費税として区分します。日商簿記3級の出題では通常、消費税を考えない前提で出されます。

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最終更新:2026-09-25